私が書いた歌詞ですよといいたいー『オーケストラ/BiSH』

 

f:id:hibino-note:20200616210117j:image

 

歌詞の中に凄く良いフレーズがある楽曲に出会った時、「これ、どうにか自分が歌詞書いたことになんねぇかな」と思うことないですか? 私はあります。自分が書けるはずないのに。

 

 

BISHの「オーケストラ」もそんな曲のひとつ。

 

 

作詞はBISHのほぼ全ての楽曲の作詞作曲を手掛ける松隈ケンタ氏。

アメトーークの「BISHどハマり芸人」で初めて知ったこの曲。

 

ーーー

こんなにも流してた涙も 語る声も オーケストラ

ーーー

 

涙や声をオーケストラの演奏に例えたところが、今風に言うととても「エモーショナル」だなと感じる。いや、オシャレか‼︎ アイドルの曲らしからぬ。

オーケストラって、喜びよりむしろ悲しみのイメージを想起させる。ヴァイオリンの、むせび泣く様なあの独特の音色。アイナ・ジ・エンドさんのハスキーな歌声も相まって、さらに泣かせてくる。

2番サビ終盤の「永遠にこんな日が来るなんて」という歌詞も、よく考えると「永遠に」「こんな日が来る」と続くのは日本語として少し違和感を感じる。想像もしていなかった日が来てしまった、しかもこれが永遠に続くんだ、という、絶望に近い悲しみを感じる。

 

『オーケストラ』から入って、他にもBiSHの曲を聴くようになった。

 

 

 

『Nothing.』

 

 

モモコグミカンパニーさんは詩人だ。

輝かしいステージの裏にある、内面での葛藤、上手く行かないもどかしさを歌詞で表現している。

 

ーーー

妄想のなか僕は

あのステージの上で

いつも歌い続けてるのに

一人殺して欲しいような夜

あの日の夢見てる

あぁAll night long

ーーー

 

アイドルをみていると、自分もあんな舞台に立ってスポットライトを浴びて…とついつい妄想してしまうものだが(私だけ?)、実際に人前でパフォーマンスをする事を生業としているアイドルでさえ、この歌詞のように独り煩悶することがあるんだと驚いた。アイドルは遠い存在だと感じてしまうが、同じ様に悩み、死にたくなる夜があるんだと知るとグッと近い存在に感じる。

 

 

 

『本当本気』

 

 

これもかなり好きだ。MVも「エモ!」って感じ。アユニ・Dさん作詞。

 

ーーー

【Aメロ】

(1)

もうやりたいことやれずに ああいつになったらやりますか?

学校でやってやるんです seventeen まだ seventeen

ああ消したい事殺れずに じゃあいつになれば殺れます?

大きくなって求めるんだ seventeen まだseventeen'S OK?

まだseventeen

(2)

言いたいことも言えずに じゃあいつになったら言うんですか??

会社で言ってやるんです twenty もうtwenty

死にたいことも癒えない じゃあいつになれば癒える?

大きくなって求めるんだ twenty もうtwentyだった 

だってtwenty

 

【サビ】

本気出すのは今では無い 嘘じゃない 知ってた?

脳ある鷹はね爪隠すの

頭がおかしくなっちゃっても クズじゃない 知ってた?

ここでやめちゃだめでしょ to die or 生

ーーー

 

こんな歌詞、同世代の女の子なかなか書けないんじゃないだろうか。 アユニさんも引っ込み思案気質だろうから、自分の中で抱えているものを歌詞に昇華できるタイプの人なのかも。

1番の "seventeen まだ seventeen'sOK?" から、2番の "twenty もう twenty だった" って歌詞の変化、突き刺さってくるな、ツラい。

いつかやってやる、と言うだけ言ってなにも出来ず、気が付いたら大人と言われる年齢になっていた。それでもまだ本気を出していないだけ、と現実から目を背け続けているのがこの歌詞から分かる。

「まだ本気出して無いだけ」って言い訳するの、若者の通過儀礼的なものだと思うんだけど、この曲でアユニさんは"ここで寝てちゃだめでしょ to die or 生''と「本当に何も言わないままでただ生きて死んでくの?」とこちらに問いかけてくる。

加入したての、歌も踊りも未熟だった頃の自分を叩いていたファンを見返すような「みんなが僕をバカにすんだ ナメんな」が爽快でカッコいい。



 

『VOMiT SONG』

 

リンリンさん作詞。この子もいくつか作詞をしてる。

 

ーーー

満たされたけどほんの一瞬で

最寄りは孤独へとなる 街である

戻りたいな の ループ

ーーー

悩みは老けてゆくけど内面は

子供の景色をただみてる

ーーー

 

 

"悩みは老けてゆくけど内面は 子供の景色をただみてる"って表現、よく思いつくなぁ。

内面は子供の「景色」をみてるというのが、子供の無垢さとか、何も知らなかった頃の純粋さ、そしてその「景色」を、頭ばかり使って疲弊しているもう大人になってしまった自分が渇望している…。身に覚えがある。アユニさんもそうだけど、10代から大人になる頃の微妙な心の変化、っていうのを言葉にするのが巧いなと、同世代から見ても思う。

 

*

 

そんな予定では無かったが、歌詞にフォーカスを当てた内容になった。パフォーマンスが格好良いのはユーチューブ見れば分かるので。

ばははい