青春を取り戻せ!私立恵比寿中学

 

f:id:hibino-note:20200607233648j:image

 

最近、アイドルの私立恵比寿中学をよく観ている。楽曲も好きだし、メンバーも一人一人個性的で、一番なんて選べない!(ハート)ほど、みんなチャーミングで魅力的だ。

ももクロが流行った時代、なんとなく曲を聴いたりはしてたんだけど、そこまでハマってはいなかったし、どんどん他に好きなものが増えていったからすっかり存在を忘れていた。

しかし今年、たまたま聴いたアルバム『playlist』がめっちゃ良くて吃驚。過去の曲も漁り出して完全に好きになってしまった。

 

聴いていると、胸が締め付けられて、涙が出そうになる。涙こそ出ないのだが、心の中でおいおい泣いている。理由は、楽曲が素晴らしいから、彼女たちが眩しいから…

もちろんそれもある。しかし私が彼女たちに、楽曲に惹かれている理由ー

 

それは、青春だ。

 

*

 

『全力☆ランナー』という曲がある。

ももクロの『走れ!』のエビ中版だと個人的には思っているこの曲は、片思いしている女の子の気持ちが歌われている。

けっこうありふれたアイドルソングだが、何故かこれを聴くとキュンキュン切ない気持ちになってしまう。

 

ーーー

『♪全力☆ランナー』

 

「地下鉄出口の階段を 制服スカート駆け上がる

君が気になってダメな私 夕焼けが滲むよ」

 

「ほらワケもなく走りたくなるときがあると言うけど

ワケならあるのよ 誰にも言えないだけ

話したくないだけなの

とことん」

 

【サビ】

「走らなきゃ息がとまりそう

君が好きで仕方ないの

ドキドキがつくる檻の中

閉じ込められたら嫌よ

走らなきゃ息が止まりそう

ローファー脱いで加速して

君への気持ちを止められない

掛けてく 全力ランナー」

ーーー

 

この曲を聴いていると、私も過去に片思いをしていて、好きな人をただただ眺めているだけだったあの日々…的なのがあったかと錯覚してしまいそうになる。

実際に無い思い出に耽ってセンチメンタルになってしまう。

走らなきゃ息がとまりそう、君が好きで仕方ないのって気持ちは、分かる。身に覚えがある。

言葉にできない、胸にもやもやしたわだかまりがあって、これをどこかにぶつけたい、叫びたい、どうすればいい!!!っていう。

好きな人を想って、とかとは別に、最近では、「なにかやりたい」という気持ちが胸の中で膨らんでは、「うわーーーーーっ!」と自分の中で何かが弾け、刹那、走りだしたくなってしまう。結局どうするわけでもなくただうだうだと時間を過ごしてしまい、さらにフラストレーションが溜まっていってしまって…

 

そんな過去を捏造したり、何もせず御託を並べるだけ並べてゴロゴロしてばかりの私と違って、エビ中ちゃんたちは確かに経験を積み、努力を重ね、しっかり技術を身につけもはやプロというほどの貫禄がある。彼女たちの陰での努力、諦めずにこつこつと練習に励んでいた時間はかけがえのない財産だ。美しすぎて涙が出る。うっ。眩しくて、たまらない。ううっ。

 

彼女たちの青春は、美しく、いのちのあるものだ。躍動的で力強く、観るものを惹きつける。豪華に飾り付けられてはいるが中身のないテレビスターより、地道な努力を重ねてきてしっかりと実力を身につけている彼女たちの方が貴いと思う。そして自分も、そういう人間になりたいと、ひっそりと、切実に、夜中の道ばたで泣きながら。

 

*

 

あの伝説のバンド、JUDY AND MARYの(元)ギタリストTAKUYA氏が、2曲エビ中に楽曲提供をしている。

『ハイタテキ!』と『紅の詩』という曲だ。

どちらの曲もキャッチーで詩的な歌詞が印象的で、全体的にひじょーにポップ。『ハイタテキ!』の方は、ロックバンドの人が作ったのだと言われなければ分からない。りったん (メンバーの中山莉子) の「惚れた!!」が最高最強スーパーKAWAIIアイドルソングである。(TAKUYA氏は御自分で「歯痛的苦悩な48歳、自称『惚れた!』開発者」と自身のYoutubeで仰っていた。ひっじょーにチャーミングなイケおじだこと。)

 

さぁ、ここで語りたいのは『紅の詩』の方。この曲、本当に大好きで、アイドルソング史に名を刻む名曲なのでは?とこっそり思っている。

 

ーーー

『♪紅の詩』

 

【Bメロ】

「駱駝を照らしてお月様 琥珀の道へ」

「枕を濡らしたアジサイの花 虹のアーチへ」

 

「眠れぬ君のハートに翼広げ 運命も加速したのに」

「明日のルーティンもパーティもヒュプノスのハグもスルーして 決意もしたのに」

 

【サビ】

(1)

「どうしてすぐに返事をクレナイ?

切なくて飛べない豚になりそーうだ

リアルまみれの海岸で 足がすくみ震えてます

睡眠不足の女優 チャンスは一回きりのサスライト

奇跡は待ってくれないよ 瞬く夜空の花火も」

(2)

「どうしてすぐに返事をクレナイ?

油断して知らない歌で 泣きそーうだ

季節外れの突風に 夜ごと振り舞わされてます

占い 共感 募集? 絶対叶わぬ夢などないよ

赤く染まった紅の 舞台はすぐそこなんです」

ーーー

 

もう、歌詞を見ているだけでドキドキする。「夜」「星座」「ヒュプノス」(ギリシャ神話に登場する眠りの神)など、ロマンティックでキラキラした言葉が散りばめられていて思わずウットリしてしまう。Bメロの「駱駝を照らして〜」「枕を濡らした〜」の部分なんか、言葉に導かれる様に幻想的な光景があたまの中に広がっていく。魔法みたいな歌詞だ。自分にもこんな歌詞が書けたらなぁ。

なるほどポップに歌ってはいるが、想いがとても切実なのがビシバシ伝わってくる。なんだろ、これ。

 

「どうしてすぐに返事をクレナイ?」

 

サビのこの歌詞なんか、涙が出てくる。

「(返事を)くれない」と曲名の「紅」で韻を踏んでいる、「切なくて飛べない豚になりそーだ」から、宮崎駿紅の豚から着想を得たのだろうとわかる。

この歌詞のギミックも面白いし大変魅力的だが、私はこの曲の主人公(という言い方が適切かどうか分からないが)の強い想いにどうしようもなく惹かれてしまう。

一途に何かを想い続け、それに向けて寝ずに準備を重ねてきたのだろう。恐れや不安と闘いながら(〜♪リアルまみれの海岸で)、暗い闇の先には光があると信じて。

 

ここでちょっと目線を変えて。アイドルソングっていうと、

「負けないで、あきらめないで、前を向いて頑張ろうぜ‼︎」

とか、

「努力はゼッタイ報われる‼︎」

とか、コツコツと頑張った先にはいい事あるよ的な、AメロBメロでくじけそう・逃げそうって感じで悩んで、サビにいくと しかし未来には光が!!諦めなければ夢は叶うよ!!みたいな展開が、まぁ王道のヤツだと思うんですが。(これは少々ステレオタイプに過ぎるか)

 

『紅の詩』はというと、想いが実ってはいない。こんなにも想っている相手からの返事は、一向に来ないのだから。

この曲は彼女たちが目標の一つとしている紅白のことを歌った曲だという解釈も一部ではあり、確かにそうも読める。

しかし、そういうものとは関係なく、心が動かされる。

 

想いが届かない、という切なさ。ここにも青春を感じる。

 

私にはここまで何かを想って眠れない日々を過ごしたなんて過去無いが、だからこそそのひたむきさが眩しい。彼女たちを見ながら青春を追体験しているような感じもする。「予測不能な展開と 過去に振り回されて舞う」の部分なんかも、振り回されて、の後に、舞う、が続くことで、ちょっとやそっとの事ではへこたれない力強さと、困難な道でも笑って乗り越えようとする少女達の美しさが表されているようで好きだ。

曲の最後はひなた (メンバーの柏木ひなた) のパート「愛ゲットピスドデストロイ」で締め括られる。愛 get pissed destroy、「愛の怒りで、ぶっ壊す!」。爽快なラストだ。

 

あと、全く関係はないのだけど、「油断して知らない歌で泣きそーうだ」って歌詞、最初聞いた時衝撃を受けた。こういう感情って経験ないけど、想像できる。頑張って気が強い振りをしていたけど、ふっと気が緩んでしまって知らない曲なのにナゼか涙が出てしまった、みたいな。サビだし、力強く歌うパートで、こんなこと歌われちゃあ、泣いちゃうよね。ぴえん。陽園。

 

*

 

たむらぱんというシンガーソングライターの方が提供している曲も良い。

 

ーーー

『♪ポップコーントーン』

 

【サビ】

「頭からポップコーン弾けてしまう

夢みたいなことは そこから始まるのだろう

もやもやしているでも何かしたい衝動

うん 諦めてしまうことに意味なんてないの

いつだってそう 明日へ」

ーーー

 

アイドルがファンに向けた歌詞だと解釈した。ファンへ向けた感謝のメッセージ。

これは曲が良い。音楽のことなんて何も分からないし、頭からポップコーンっていうのも全然意味がわからないのだけど。

ポップコーンのように明るく弾けていて、ひたすら前向きな曲だ。

 

ーーー

『♪感情電車』

 

 

【イントロ】

「好きだからこそ聞けない はかない未来のありか

咲いているあなたの肌に触れた時 泣いた 今が時かな」

 

「インフォメーション走らす境界線をまた引っ張って

情報なんて持っていなくたって 道はどうにかなる

上昇中の愛を歌っていて 怖くないよ

なんにもないなんでもないよと言って

強い人だから」

 

「わかぎたちさくのははるのはな

きらりとびかわしてなつのゆめ

せなかにおちゆくはあきのそら

てのひらにつつんだふゆのたね」

 

【サビ】

「感情電車に乗っかって 駆け出してよどんどん行っちゃって

愛情大小詰め込んんでってよ そう そう 離しはしないでよ

頑張る上手になりたいね 楽しんだりもっと忘れないで

感情電車は特快で 今 もう もう どこにも止まれないよ」

ーーー

 

この曲も名曲。とっても愛がこもっている歌詞。

エビ中っぽいというか。陽だまりのような優しさがある。

この方の詩は情緒的というか抒情的というか、直接的ではなくやや難解な歌詞だけど、スッと入ってくる優しさがある。

 

Bメロの歌詞が【春・夏・秋・冬】、【朝・昼・夜】、つまり四季と一日が流れるような日本語で表現されていて、目で見ても耳で聴いても心地よい。

環状電車と、四季。巡りゆくもの。その儚さ、愛おしさ。

 

このブログを書くに当たってMVを初めて観たのだけど、オウフ、これはあかん。深夜に目頭が熱くなってしまった。(あと安本のジャケット欲しい)

 ー頑張る上手になりたいね 楽しんだりもっと忘れないで

大事な人と過ごす時間の大切さとかけがえのなさを、しみじみと感じた。

 ー楽しむ上手もなりたいね

にわかの私が、旧メンバーのことについて感傷的に書いたりは出来ませんが。それでもこみ上げるものがあった。

 ー感情電車は特快で 今もう もう どこにも止まれないよ



(限定公開されているライブ映像。感情電車は 2:03:25 あたりから)

 

「上昇中の愛を歌っていて “怖くないよ”

なんにもないなんでもないよと言って “強い人だから”」

 

ライブバージョンで聴くと、この歌詞の部分がグッときて泣いてしまう。

まだ20代も前半の子なのに、なんという説得力!包容力!安心する歌声だ。

 

この楽曲は、メンバーの小林歌穂 (愛称:ぽーちゃん) をフィーチャーしたものらしい。さすがメインだけあって、ぽーちゃんの良さが全面に出ている。

彼女の歌声は不思議で、優しくて、内面がそのまま歌声として出ているよう。本当に優しくて良い子なんだろうなと思う。

彼女が歌うと空気がほわっと優しくなる。この曲も、イントロなど印象的な部分を彼女が歌うことによって独特な世界観が生まれている。

 

…なんか青春とかけ離れてただただエビ中の魅力を語るだけになってる!?こうして書いている間にも、彼女たちが愛おしくてしょうがなくてついつい脱線してしまった。電車だけに。(ボソッ)

 

 

 

 

***

でも、思ったなぁ。青春って、なにも高校生とか、若い頃だけではないのかも。今だって十分、青春っちゃあ青春。人生楽しめるんだ。考えようによっちゃあ、ね。

私はとってもスロースターターで、周りに合わせるのが苦手で同級生の子たちと同じ様に学生時代を過ごすことは出来なかったけど。

 

まだまだ、これから。いくらでも楽しくしていける。

 

そう、エビ中に教えてもらった気がする。ありがとう。これからも陰ながら、応援させていただきます。

 

ーーー

疲れて“やすもうと”思ったこともあったけど

“ま、やま”あり谷ありか ってひとりごと零しながら

頭の中で何度もシュ“ミレイ”ションしたんだよ

ここから見える景色は“かほ”うにするね

綴られた“かしは ギ”ターに乗せて響け

あなたは私のと“りこ”

 

ヘイシスター ヘイブラザー 聞こえてるか

心配はいらないよ 任しといてよ

ここにいるときの私は いつもよりちょっぴり 強いんだよ

ヘイブラザー ヘイシスター 届いてるか

後悔はしないよ させないよ

今日の私の目を覚えていて 静かに燃える瞳の奥の美しき命

(『♪Family Complex』 / 作詞作曲:岡崎体育)