(今更)ハマっているYouTuber

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こんにちは。

もうコロナが怖くて怖くて、最近何もできていません。また自粛期間。

まぁ私は休めるのでいいですけど、お仕事されてる方はさぞ大変だろうなぁ…と。

 

*

 

そんな自粛生活の中、私はとあるYouTuberにハマっていた。

バーバパパ」(以下、パパ氏とする)というユーザー名でEDMなどの楽曲をあげている、正体不明のYouTuber。『ウ"ィ"エ"』という楽曲がヒットし話題になったのでご存知の方も多いと思う。最近では、大物YouTuberのヒカキン氏がカヴァーしてそれも話題になっていた。

私が最初に見た動画も、この『ウ"ィ"エ"』なのだが、その時は「はぁー、よくわかんないなぁ」と思っただけで、そんなに気にも留めず、すぐ興味も無くなった。しかし、今ではアップされている動画を毎日見るまでになった。なぜか。

 

現時点で語れるパパ氏の作品の魅力というのは、ざっくり言うと

  • 意味のわからなさ≒意味のなさ
  • 独特な言葉選びカオスの中で唐突に刺さる歌詞

 

と、いったところだろうか。この記事では、私が特に刺さった動画をもとに、パパ氏の魅力を解き明かしていきたい。

 

これはなんなのだろう

パパ氏の作品を見たときの感想はさまざまあるだろうが、圧倒的に多いのがこれだろう。「今、私は何を見ているのだ?」

私が氏にハマるきっかけになったのは『にょーり君』と題されたアニメーションだ。

これを初めて視聴した時、決して心穏やかではなく、むしろ乱される気分だった。

画面にいるのは、学校の中庭で掃除をしている2人の青年。話し方はぎこちなく、会話もスムーズに進まない。どこに向かって話が進んでいるのかもわからない。ただ、コミュニケーションが下手そうな2人の会話を見て、共感性羞恥を否応なく刺激されるのであった。

しかし、なんだか気になる。なんなのだろう。この感情。もう一度見てみた。二度目は、主人公のにょーり君が自分の力の強さ故に人を傷つけてしまう、という声を詰まらせながら涙を滲ませながらの告白に、少し気落ちが動いた。にょーり君…。気持ち悪いだけだと思っていたが、なんだか気になる、放って置けない存在、くらいになっていた。

その後、続きがすでにアップロードされていることに気付いて2話も視聴。主要なキャラクター・にょーり君、デビス君に続いて九重八木君という新キャラが登場。彼は、これまでのエピソードにはいなかった「ツッコミ」的ポジションであり、彼が加わることによって1話でアニメ全体に感じていた違和感、気持ち悪さというものが「ボケ」であり、「ツッコミ不在」の異常な世界だったんだ、ということに気付かされた。そのため、2話は1話に比べて非常に見やすく、面白い内容だった。

「にょーり君」にハマった私は、パパ氏の過去の動画も漁り始めた。

 

段ボール捨てる日がまだいつなのかよく分からない

パパ氏の動画には、たびたび登場するオリジナルのキャラクターが出てくる。白髪の青年、鯵の頭をしたアジョット、水着を着た歌のお姉さんetc...そんなキャラクターが登場する動画の中で、繰り返し歌われているあるメッセージがある。それは、

「段ボールを捨てる日が いつなのか分からない」

非常になんというか、日常的なというか、まぁ、言ってしまえばしょーもないものなのだ。

ある時はコンビニ前で時間を潰してる白髪の青年が。ある時は舞台の上で踊る歌のお姉さんが。それまでの流れとか(まぁ流れとかないんだけどこの人の作品に)一切関係なく、そんな独り言のような文言を、しかもよりによってEDMに乗せて。

しかし私は心奪われてしまった。「分かる! 捨てる日いつなのか分からないゴミってあるよねぇ」と、謎の共鳴をしてしまった。ここで言っておきたいのだが、それ以外ほぼ何を言いたいのかは分からない。アニメーションも脈絡のない(ように見える)ものばかり、曲も意味不明。圧倒的カオスの中に、いきなり「段ボール捨てる日がいつなのか分からない」。こんなの好きになってしまう。あと作中に出てくるセニョール伯爵大臣の御神というキャラが(誰)、曲のイントロ部分で「アカン。もう何度やってもアカンわ。」「モジュールのエラーがなんとか」みたいにゴニョゴニョ言ってる箇所があるんだけどこれは多分、3D映像や曲を作る(つまり作品を作る)上でパパ氏に起こったトラブルをもうそのまま、独り言をあえてそのまま曲にのせて伝えてきてるのがちょっと笑える。(実際どうかは分かんないけどね)

 

『インク切れ』

にょーり君2話の劇中歌である『インク切れ』。

これは、九重八木君がホワイトボードに文字を書こうとしたらペンのインクが無かった、というシーンで使われる予定だったらしい曲。本編とは別の動画として(単純にMVとして)あがっている。

「インク切れ」という日常でよくある些細な出来事からこんな曲を作ってしまうなんて、ありきたりな表現になってしまうが天才だなと思った。インク切れしていたことも、する可能性があることも、分かってはいたのにそのままにしてしまっていて、結果今手元には一本もインクの出るペンがない。

間違ってること気づくのはいつだって

暗く深く広い迷路のよう

迷ってたんじゃ出口もきっと見つかんない

探し続け時を忘れ 今何時? 今何時?

そんなこんなで1人 あぁいっそ投げ出したいよ

もう全部

インクの話から、このサビである。えっ?人生哲学の話? 

 

そしてにょーり君のエンディング。これも一体なんなんだ。

気怠い朝方に 急ぎ足で駅の中

どこでもいるのだろう 俯いたまま

話さない 誘わない 気にしない 望まない

頼らない 当てにしない 騒がない

 

いつかしたあの約束を もう

覚えてはいないかな

全部忘れてしまえばいい 振り出しにして!

 

消える 消える 消える 何も

言わずに重ねたもの全て

捨てる 捨てる 捨てる 覚悟はとうにできてた

これもなかなか衝撃的だった。あんな奇妙なアニメが終わった途端、「気怠い朝方に〜」…って入ってこないわ!!

よくよく歌詞を聞いてみたら、とっても哀しい曲。

いろいろ考察の余地はありそうだが、あえてあまり深入りはせずに。

 

*

 

まとめみたいな奴

パパ氏の作品は一見、支離滅裂で受け入れ辛さはあるものの、理解できる人には響くメッセージがそこかしこに散りばめられているのだと感じた。

この"理解できる"は、完全な理解、ではなくて、「こういう気持ち、なんとなく分かる」「わかんないけど、落ち着く。」くらいフワフワしたものだろう。

だから、ある動画の意味不明さに「落ち着く」という人がいたなら、それはやはり意味以上の何かをその人に伝えることができているのだと私は思う。コメントでも見た気がするけど、「意味のあるものに疲れていたので助かります」みたいな感想もあった。パパ氏の作品の魅力である意味のわからなさ、無意味さは、つまりそういうことだ。ここにあげた動画以外で、これは意味を含んでそうという作品も実は結構ある。でも考えてみてもその動画を作った真意は計りかねる。私はただ単純に、視覚と聴覚でパパ氏の世界観を堪能できれば、にょーり君たちの日々を笑って見て居られれば、それで十分満たされる。これからもこっそり、動画投稿を楽しみに待っている。